散気筒(ミューグリーンリアクター®)
概略
ミューグリーンリアクター MGR-300の稼働状況1
ミューグリーンリアクター MGR-300の稼働状況2
ミューグリーンリアクターの稼働状況3
(MGR-125-10-P, 供給空気量:25-90 m3/h, 圧力損失:5-55 kPa)
ミューグリーンリアクターの稼働状況
ミューグリーンリアクター/Mu Green Reactor, a static mixer
ミューグリーンリアクター2 /MU Green Reactor 2
ミューグリーンリアクターの特長
01 動力ポンプ不要
従来の動力式のマイクロバブル製造装置では、動力として圧縮空気を送り込むコンプレッサーと気液混合用の混気ポンプおよび曝気槽内の液体を供給する加圧水ポンプが必要ですが、ミューグリーンリアクターの場合は、ルーツブロワー又はコンプレッサーのみで、気液混合用の混気ポンプおよび加圧水ポンプは不要です。本製品のランニングコストは動力式のものに比べ、90%以下に抑えることができます。
02 可動部なし
動力式のマイクロバブル製造装置は、混気ポンプ内に加圧供給される液体と気体とを羽根車を回転することによって流体を攪拌し、気体と液体を破砕し、液体に気体を溶存させています。一方、ミューグリーンリアクターは、流路内の構造を複雑にすることによって、気体の流動エネルギーのみで流体を分割・旋回・合流・反転させることによって気体を溶存させています。装置内に可動部がないので羽根やベアリング等の可動部の摩耗や目詰まりがなく、メンテナンスコストはゼロに抑えることができます。又、耐久性に優れ長時間連続運転が可能になります。
03 単純な構造
ミューグリーンリアクターは、流体通路に流体を通すだけで、マイクロバブルを発生させ、槽内に強力な循環流を形成し、液中に酸素を供給しています。動力を必要とするポンプ類が不要なので、価格を抑えることができ、イニシャルコストは動力式のものと比べ1/5以下になります。又、ボイド率(気体の体積流量比)は、動力式のマイクロバブル製造装置は4〜10vol%ですが、ミューグリーンリアクターは50〜70vol%です。 このように、生成効率、ボイド率に関して動力ミキサーを凌駕しているにもかかわらず、ミューグリーンリアクターは、ランニングコスト、メンテナンスコスト、イニシャルコスト、すべての点で、動力式のものに比べ遙かに下回り、コストパフォーマンスは非常に優れています。
04 エレメントに複数枚の羽根を内蔵
スタティックミキサーの原型である米国Kenics社のスタティックミキサーは、1つのエレメントに羽根体は1枚でしたが、本製品では、複数枚の羽根体を内蔵しています。羽根体の枚数を多くすることにより1つのエレメント内で流体の分割が倍加することになり、エレメント当たりの流体の混合効率が上昇します。例えば、1枚しかない羽根を内蔵するエレメントを4つつなげると、分割は3回起こることになり、流体の分割は2×2×2×2=16になります。一方、4枚羽根を内蔵するエレメントでの分割は、4×2×2×2×2=64となり、分割数は4倍になり混合効率が向上します。
12枚ですと、12×2×2×2×2=192となり、分割数は12倍になります。
05 多孔体の羽根を使用
従来のスタティックミキサーの羽根には孔は空いていませんが、本製品では、多孔体の羽根を使用しています。流体が多孔体の羽根を通流することにより、流体の分割・剪断が飛躍的に増え、混合効率が上昇します。
06 直進の流れと螺旋状の2つの流れを生成
従来のスタティックミキサーでは、エレメント内の流体の流れは、羽根体に沿って流れる螺旋状の流れのみでした。しかし、本製品では、らせん状の流れの他に、軸中心部に直進の流れを加えることで、エレメント内に速さや方向の違う2つの流れをつくり出しました。この速度の差によりせん断力が発生し、流体が振動し、流体が微細化され、混合効率および異種流体同士の気液の接触界面積の向上につながっています。 これら三つの特長により、従来のスタティックミキサーを遙かにしのぐ混合効率を有していますが、さらに性能を向上させるために、本製品の下部に設置されている気体の噴射部に、ミュー発振素子を取り付けています。このミュー発振素子の特長は、以下の通りです。
07 気体の微細化 (発振素子とは)
ミュー発振素子とは、気体の旋回及び剪断機能を備え、強力な螺旋渦流を発生させる静止型混合装置の一種です。気体の噴射部に取り付けられ、下から上に向かって液体中に高速(10m/s以上)で噴射されます。ミュー発振素子の内部を見ると、らせん状の羽根体が2枚設置され、羽根体の内側(中心部)に空洞があります。
2つの流れが発振現象を起こす
高速度で噴射部から発せられた加圧気体は、ミューミキサーと同じようにミュー発振素子の中でも、二つの流れに分けられることになります。羽根体に沿ってらせん状に旋回する流れと、2枚の羽根体の中心部に空いた穴を直進する流れになります。この旋回流と直進流の速度の違う二つの流れにより、発振現象が起こります。
発振現象とは?
この発振現象というのは、一言で言うと気体が振動することです。この発振現象こそが気体の微細化を加速させる効果をもち、具体的には次の4つの現象によって引き起こされます。
- 加圧気体が液体中へ高速噴流されることによって、乱流渦が発生し崩壊する。
- 加圧気体が自励振動(振動を起こす外力が振動自身によって、振動幅が大きくなるか、振動が持続する現象のこと)により、周波数200-1000Hzの音波が発生する。
- 加圧気体が噴射部から液体中へ噴射され、噴流に伴う圧力低下によりキャビテーションが発生する。
- 加圧気体が発振素子の中央部を直進する流れと羽根体に沿って旋回する流れに分けられ、その二つの速度差からせん断力が生じる。
08 循環流の発生
本製品の特徴の一つは、強力な循環流を発生させて、曝気槽全体の液体を効果的に曝気することが挙げられます。 従来のマイクロバブル発生装置では、強力な循環流が発生しないことから、装置周辺の流体しか曝気効果がなく、槽全体をカバーするには、装置を大きくするか、複数の装置又は水中ミキサーを設置する必要がありました。しかし、本製品は、強力な循環流を生み出すことにより、槽全体の反応速度つまり処理速度が上昇し、小さなエネルギーで広範囲の流体の曝気を可能にし、エネルギー効率を飛躍的に向上させています。
5つの特長のまとめ
04〜06のミューミキサーの特長と07の発振素子による発振現象によって、従来の混気ポンプとスタティックミキサー方式を遙かに凌駕する混合効率と酸素溶解効率が実現可能になりました。マイクロバブルのボイド率も約60%と、通常のスタティックミキサーによるマイクロバブルの気泡含有率の約10%と比べ、約6倍にもなります。
また、発振素子により強力な循環流08を形成し、効率的なマイクロバブル発生と循環流生成の相乗効果により、大きな曝気効果(酸素溶解効率)を発揮することができます。 さて、スタティックミキサーの目的は、効率的に液体に気体を溶解することです。
そこで大きな役割を果たしているのが、マイクロバブルです。マイクロバブルは通常のバブルと性質が大きく異なり、以下のような特性があり、その特性があるからこそ、通常のバブルと比べ、効率的に液中に気体を吸収・溶解することができるのです。
基本原理
01 分割作用
螺旋状の右捻りの羽根体と左捻りの羽根体の端縁同士(境目)は直交しているので、境目の断面はちょうど十字の形をしています。 羽根体の裏表両面に沿って流れている液体はその境目で2つの流れに分割されることになります。n個の羽根体が直列に配列されていると、分割数は2のn乗になり、例えば、羽根体が3つの場合は、2×2×2=8分割されることになります。
02 回転作用
螺旋状の右および左捻りの羽根体により、流体は回転(旋回)作用を受けます。
円周から中心部へ、中心部から円周へと流体は回転します。
03 反転作用
羽根体を複数個直列する場合、羽根体の螺旋状のねじり方向は、交互になります。
始めの羽根体が、右回りであれば、次の羽根体は左回りになります。羽根体ごとに回転方向が替わることによって、乱流撹拌されます。
マイクロバブルの特性
マイクロバブルとは、どのくらいの大きさのことをいうのでしょうか。マイクロバブルとは、「発生時において10〜数10ミクロン(μm)の微細気泡」のことをいいます。欧米人の女性の髪の毛の平均太さが約50μmといわれています。
大まかに言えば、髪の毛の太さよりもさらに小さいバブルということになります。マイクロバブルは通常の泡と比べ、下記のような特徴があり、効率的な曝気効果に大きく寄与しています。
01 水中で消滅する
通常の気泡と一番の大きな違いは、マイクロバブルは水中で消滅することです。上図のように、通常の気泡は浮力により水中を上昇していき、水圧が低くなることによって、気泡にかかる内圧も小さくなり、泡の大きさが大きくなって、表面で破裂します。
一方、マイクロバブルは通常のメカニズムと反対で、上昇するにしたがって泡の大きさが小さくなっていき、水中で消滅します。これは、泡とそれを取り囲む水(気体と液体)の境界に水の表面張力が働いて、その力により泡は四方八方から押されることになります。泡に圧力がかかることによって、泡の大きさが徐々に小さくなっていき、最終的には極めて高い圧力がかかり圧壊することになります。
マイクロバブルは、上昇速度が非常に緩やかなことから、水圧変化の影響よりも表面張力の影響の方が大きく、このように通常の泡と異なった現象が起きます。 この「水中で泡が消滅する」と現象は、水の表面張力により泡内部の圧力が上昇することと、気泡の上昇速度が非常に緩やかなことが、組み合わさって起こる現象です。
それでは、これらの2つの現象が「気泡の溶解能力」とどのような関係があるのかを
それぞれ詳しくみていきます。
02 泡内部の圧力が高い
泡にかかる圧力はYoung-Laplace式により、泡の直径と圧力は反比例の関係にあります。 つまり、泡の直径が小さくなるにしたがって、加えられる圧力は大きくなります。例えば、10μmの気泡の圧力は約0.3気圧になり、1μmでは、約3気圧にものぼります。気体の液体への溶解はヘンリーの法則に従い、気体の圧力(分圧)と溶解は比例するので、圧力が高くなればなるほど、溶解は進むことになります。
03 上昇速度が遅い
マイクロバブルの上昇速度はStokesの法則より、泡の直径の2乗と上昇速度が比例関係にあります。(泡の直径がたいだい150μmまでは、この関係が成立します。)実測データによると、1分間の上昇距離は、1mmの直径の泡は6mであるのに対し、10μmはわずか3mm程度です。つまり、10μmの気泡の上昇速度は、1mmの気泡に比べ約1/2000です。上昇速度が遅いので液体中の滞留時間が長く、その分気体が液体と接する時間が増えることになり、気体の溶解効率は高くなります。
ここで、特性2と特性3より、直径が1mmと10μmの気泡の溶解能力を比較してみます。
特性2より気泡の内部圧力(=溶解能力)と、気体の直径が反比例することから、10μmの気泡は、1mmの気泡の100倍の溶解能力を持つことになります。また、特性3より10μmの気泡の上昇速度は、1mmの気泡に比べ約1/2000なので、10μmの気泡は1mmの気泡の約2000倍の溶解能力を持つことになります。特性2の内部圧力の効果と、特性3の上昇速度の効果を単純に掛け合わせると、10μmの気泡の溶解能力は1mmの気泡に比べ、2×10の7乗倍つまり2千万倍になります。 実際には、気泡の上昇の伴う対流効果などの諸条件も加わるため、このような差は生じませんが、いずれにしても桁違いの溶解能力であることには間違いありません。
このように、マイクロバブルは、通常の気泡に比べ非常に高い溶解能力を持ち、効率的に曝気を行うことができます。 また、マイクロバブルは、マイナスイオンに帯電し、マイクロバブルが縮小していく過程で、このイオンがどんどん濃い状態になり、フリーラジカルを生成することになります。フリーラジカルは反応性が高く、化学反応や水の浄化などに利用することもできます。
※参考文献: 「泡のエンジニアリング」(石井淑夫、テクノシステム、2006年)・「マイクロバブルおよびナノバブルの動向」(高橋正好、M&E 2008年7月号
他社製品との比較表
他社製品との特長の比較
|
ミュー グリーンリアクター |
A社の 散気筒 |
曝気装置 |
散気装置 |
価格比率※ |
20 |
100 |
―― |
―― |
寿 命 |
◎(半永久的) |
〇 |
× |
× |
目詰まり |
◎(なし) |
◎(なし) |
×(あり) |
×(あり) |
ヘドロ堆積 |
◎(なし) |
◎(なし) |
◎(なし) |
◎(なし) |
部品修理・交換の有無 |
◎なし |
×(あり) |
×(動力部分) |
×(あり・散気板のゴム部分劣化の為) |
動力ポンプ |
◎(不要) |
×(必要) |
×(攪拌するための動力が必要) |
◎(不要) |
消費電力 |
◎ |
△(必要) |
×(攪拌するための動力が必要) |
×(目詰まりする為電力が多く必要) |
マイクロバブルの発生 |
◎ |
◎ |
×(なし) |
×(なし) |
ボイド率 |
◎(50~70vol%) |
△(4~10vol%) |
―― |
―― |
設置スペース |
◎(小) |
〇(中) |
△(大) |
△(大) |
循環流の発生 |
◎(あり) |
○(あり) |
×(なし) |
×(なし) |
※他社の散気筒を100とした場合の比較です。
他社製品との仕様比較
|
ミューグリーンリアクター(MGR-300) |
A社の散気筒 |
価格比率※ |
20 |
100 |
製品の構成要素 |
本体、ルーツブロワー 制御盤 |
混気ポンプ、ラインミキサー、 ルーツブロワー、供給ポンプ、制御盤、 架台など |
発生量(m3/hr) |
360 |
30 |
供給空気量(m3/min) |
6.6 |
約3 |
寸法(mm) |
φ300×900H |
2000L×840W×950H |
容積(m3) |
0.06 |
1.6 |
重量(Kg) |
55 |
400 |
消費動力(kWH) |
5.8 |
11 |
※ A社を100とした場合の比較です。
本製品の用途
- 曝気
- 放散処理装置
- 閉鎖水域(湖沼・池・水産養殖等)の酸素富化による浄化
- 生物反応装置(バイオリアクター)
- 気泡塔
- ガス吸収装置
- 浮上分離装置
- 気液反応装置
- バラスト水のオゾンによる殺菌
- 滅菌処理装置
- オゾン利用による汚泥減容処理装置